IMF(国際通貨基金)は24日、世界経済見通し(WEO)発表
2020年の世界経済の成長は-4.9%と予想。2020年4月の「世界経済見通し(WEO)」の予想から、さらに1.9%ポイント低い
パンデミックの影響に関する重要な想定に基づいている。
感染率が低下している国々で、今回の予想でこれまでより回復ペースが鈍化しているのは、
2020年後半にかけても社会的距離の確保が続くこと、
2020年の第1および第2四半期のロックダウン期間中の経済活動への打撃が
予想以上に大きかったことによる影響(供給能力へのダメージ)の拡大、
さらには危機を生き延びた企業が職場の安全や衛生への取り組みを強化する中で落ち込む生産性を反映
【日本】
20年の成長率は-5.8%と予測
リーマン・ショック後の09年(同5.4%)を超す景気悪化。
【世界】
IMF首席エコノミストは「世界の75%超の国・地域が経済活動を再開したが、回復力は極めて不透明だ」と指摘。
世界景気は20年後半から緩やかに持ち直すと予測するが、感染封じ込めの決め手はワクチンや治療薬の開発。
IMFはリスクシナリオも検証した。
21年 基本シナリオ世界の国内総生産(GDP)は、5.4%成長を見込む
感染第2波が発生すれば4.9%下振れするという。
その場合、同年の成長率はほぼゼロ。
22年時点でも基本シナリオを3%下回り、大恐慌時のような長期停滞を余儀なくされかねない。
経済再開で先行した米国テキサス州で、1日当たりの新規感染者数が過去最高の5000人超となるなど感染の封じ込めに苦戦する。
全米の飲食店の客足は前年比で一時59%まで回復した。
それが感染リスクの高まりで、直近の22日は同34%まで急落。
景気の足取りは重い。
【新興・途上国】
新興・途上国は3.0%減と統計がある80年以降で初めてマイナス成長。
感染拡大そのものが止まらない。インドは感染者数が40万人を超え、5月の都市部の失業率は26%に急上昇。
IMFは20年の成長率を4月時点の予測から6.4ポイントも引き下げた。
世界的な需要低迷で原油価格が前年比41%下がり、サウジアラビアやナイジェリアなど資源国も大幅なマイナス成長と予測する。
【第2波=2021年はゼロ成長にとどまると警告】
公的債務は第2次世界大戦時の水準を超えそうで、政策余地は狭まる。
【公的債務】
IMFの予測では、世界の公的債務残高は20年にGDP比100%を突破して過去最大になりそうだ。
日本は268%と前年から30ポイントも上昇。
日米欧など先進国の公的債務は141%。第2次世界大戦時(116%、1945年)を大幅に上回ると予測している。
※IMFホームページ、日経電子版参考