【新興国がドル不足の試練】
新型コロナウイルスの感染拡大→輸出・旅行客が急減→外貨が稼げず、
通貨安で対外債務の負担も増した。
エジプトの観光産業は国内総生産(GDP)の11%を占め、外貨を稼ぐ重要な手段
外貨準備は3月以降2割減少。新規感染者はピークの9割程度と高いまま、経済再開している。
「外貨を稼ぐ力」である経常収支が新興国で悪化している。
IMF(国際通貨基金)は、中国を除く新興国(141カ国)の経常赤字は合計でGDPの2%と01年以降で最大と見通している。
国別では32カ国のうち20カ国で外貨準備金が減り、トルコは270億ドルと最も大きい。
外貨準備は約500億ドルと、短期対外債務を下回り、不適正水準。
5月中旬までの3カ月間で、ブラジルやトルコ、南アフリカの通貨は対ドルで2~3割下がり、
自国通貨で見たドル建て債務の負担が膨らんだ。
FRBは各国中銀との通貨スワップでドルを供給したが、対象の新興国はブラジル、メキシコのみ。
米国と関係の悪いトルコ中銀とFRBの交渉は不調に終わった。エジプトはIMFの支援に頼っている。
新興国の21年末までに償還・返済が必要なドル建て債務が7200億ドル(中国を除く主要29カ国)。
債務危機になれば「トルコや中南米の最大の貸し手である欧州の金融機関にも波及する」(みずほ総合研究所)。
日本も南アフリカへの海外与信で2割を握り対岸の火事ではない。
※日経新聞記事まとめ