実体経済への波及見極め
コロナショック、市場動揺
世界の金融・証券市場が2008年9月のリーマン・ショック以来の混乱に見舞われている。
投資家の警戒は、「新型コロナショック」だけでなく下記の3つのリスクを警戒
1、米景気後退
2、債務バブル
3、金融政策の限界
これら3つのリスクを通じて市場の混乱が実体経済に波及しかねないかという警鐘
【現象】
3月9日 米ダウ工業株30種平均が歴代首位となる下げ幅
3月10日 日経平均株価は朝方800円超下げる場面あり
トランプ大統領の減税検討への期待から午後は上昇に転じた。
市場のムードは楽観には程遠い。
「ここまで急激に株価変動率が上がると、株価が安くても投資家はしばらく動けない」
ダウ平均は最高値から19.2%下落し、弱気相場入りとされる2割安が迫った。
※上記は10日までの現象
その後、12日の動きは、欧米株が歴史的な急落に見舞われた。
米ダウ工業株30種平均の終値は、前日比2352ドル60セント安い2万1200ドル62セントと下落幅は過去最大!
欧州株も軒並み10%以上下落
トランプ米大統領が11日夜、新型コロナウイルスの拡大阻止のため、英国を除く欧州からの外国人の入国禁止を発表。経済活動が世界で収縮する懸念が強まった。
ダウ平均は下落率(9.99%)
リーマン・ショック時の08年10月15日(7.87%)を上回り、1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%)以来の大きさ。
株価急落を受け、ニューヨーク証券取引所は9日に続き、15分間取引を停止した。
2月12日に付けた史上最高値からの下落幅は8300ドル(28%)超に達した。
日経平均も13日、17,000円を割れた。
以下、改めて10日の記事より
【3つのリスク】
1、景気後退リスク
 過去最長の米景気拡大がいつ止まるか警戒感が強い中で株安に直面。
 世界の株式の時価総額は1月のピークから15兆ドル弱減り
 減少額は金融危機時の7割
 今後、反転しなければ数年の個人消費に重くのしかかる。
 なぜならば、米国は家計金融資産の30%を株式や投資信託が占めるため、消費に与える影響が大きい。
 19年は資産の伸びが10兆ドル超と年間給与(9.3兆ドル)よりも大きく「資産効果」が消費の強さにつながった。
2、債務バブル
 超低金利が醸成してきた企業や国家の債務バブル破綻リスク。
 原油価格の急落が顕在化させた。
 米低格付け債はエネルギー企業が多く発行している。
 9日利回りが急上昇(価格は下落)し、上乗せ幅は6.68%
 リーマン危機の上乗せ幅は20%を超える水準
 過去の危機時に比べ水準はなお低く、低格付け企業の信用不安に発展する状況にはなっていない。
3、金融政策の限界
 米国の緊急利下げでも市場は利下げではコロナによる需要と供給の落ち込みを止められないと見透かし株安で反応。
 市場の混乱は実体経済に大きな打撃となる目前で踏みとどまっている状況。
 企業への金融支援や景気対策など、核国政府の対応のスピードが問われる局面にある。
PBR、一時1倍割れ
10日の東京株式市場で東証1部上場企業の株価純資産倍率(PBR)が一時1倍を下回った。
PBRの1倍割れは企業の1株純資産よりも株価が低いことを意味し、割安とみられやすい。
1倍近辺が過去の株安でも底値になることが多かったが、最近の株安でトヨタやNTTなど高収益企業でも1倍を相次ぎ下回る。
東証1部の予想配当利回りは2.8%と金融危機後の最高水準。
PBRとは、

日経新聞3月10日
【新型コロナと原油急落が金融市場に与える影響】
「原油急落市場混乱に拍車」
新型コロナに加え原油問題が金融危機に飛び火しかねない。
9日の金融市場は新型コロナ感染拡大で始まった混乱が新たな局面を迎えている。
各市場とも歴史的な値動き
・原油価格 前週比34%下落と2008年の金融危機以来の下げ幅
・日経平均 1年2か月ぶりに20,000円を割れた。
・為替相場 一時101円台半ばまで上昇
・米長期金利 史上最低の0.3%台と
市場関係者は今後3か月の見通しをどう見ているか
【為替】「リスク回避の円買い」
新型コロナと原油安は引き続きリスク回避の円買い要因。米金利の低下余地小さく、1ドル100円超えは難しそう
【日経平均】「乱高下続く懸念」
1万9,000円~2万2,000円
目先は波乱続く。新型コロナ終息が見えれば一度は戻すが、実体経済の悪化を織り込んでもう一度売られる懸念。夏以降は上昇基調。
【NY原油】「原油は先安感なお強く」
1バレル20ドル前半~30ドル
OPECプラスの増産と新型コロナの影響で需給緩和が一段と進む。
チャイナショック時の水準割れも。
サウジアラビアとロシアの追加減産協議が不調に終わりこれらがどのように影響を与えるか。