キャッシュミラー経営分析で会社のお金の流れを可視化せよ!
企業の財務状態を把握する際、自己資本比率や流動比率などの「比率」だけで判断していませんか?実は、比率だけでは会社の本当の安全性は見えてきません。
本記事では、「新キャッシュフロー経営理論を活用した戦略CFO養成講座 Day2」の内容から、資金を細分化してキャッシュベースで経営状態を見る**「キャッシュミラー経営分析」**と、AIを活用した最新のコンサルティング手法について解説します。
1. 資金別貸借対照表の基本と「7つの資金分類」
まずは基礎の復習です。会社の資金は大きく4つの「お財布」に分類できます。
- 損益資金:本業の利益の積み重ね。プラスであることが望ましい。
- 固定資金:長期的な資金の調達と運用(設備投資など)の差額。
- 売上仕入資金:売上債権と仕入債務の差額(サイト)。
- 流動資金:上記の「安定資金(1〜3の合計)」に属さない、当面のやりくりに使われる資金。
本講座では、この4分類からさらに踏み込み、**資金を7つに細分化した「入出金別貸借対照表」**を作成します。 具体的には、本業の儲けとサイトの取引による「継続損益資金」、在庫を差し引いた実質の儲けである「実質損益資金」、資本金を加えた自社資金である「真正損益資金(オーナー持分資金)」、そして自社資金から固定投資をした残りの「正味損益資金(オーナー残存資金)」などに細分化し、どこから資金が生まれ、どこに消えているのかを明確にします。
2. 比率分析から脱却!「キャッシュミラー経営分析」とは?
キャッシュミラー経営分析とは、自己資本比率などの比率分析ではなく、すべてキャッシュベースで資金の状態と流れを分析する手法です。
例えば、自己資本比率が比較的高い会社でも、キャッシュ(現預金)の内訳を見ると、安定資金がほとんどなく、大半がファクタリング等で生み出した流動資金で回している「自転車操業」状態であるケースがあります。比率だけでは安全に見えても、「現実にお金がないのに安全性の高い会社と言えるのか」という視点が資金会計理論の基本コンセプトです。
プロフィット(損益)からストック(資金の状態)へ視点を切り替えることで、これまでの方法では見えなかった本当の経営成績がはっきりと見えるようになります。
3. 「資金状態グラフ」でお金の流れをストーリーで理解する
入出金別貸借対照表をグラフ化して可視化したものが**「資金状態グラフ」**です。 このグラフを俯瞰することで、以下のことが一目でわかります。
- お金がどこから入り、どこに使われたか
- 資金の流れはスムーズか、滞りはないか
- 資金バランスは良いか悪いか
例えば、「過去の利益の積み上げと小取引で稼いだお金を在庫で消してしまい、資本金は設備投資で終わってしまってキャッシュポイントがカツカツ」といった、自己資本比率だけでは見えてこない資金の流れのストーリーがグラフから読み取れます。このグラフを3期分並べて見ることで、資金繰りの厳しさやバブル投資の有無など、様々なことが読み取れるようになります。
4. 【実践事例】AIとデータを駆使したコンサルティングメソッド
講座の後半では、実際の建設会社(河川工事等)の事例をもとに、どのように分析しコンサルティングを行うかが紹介されました。
AI(NotebookLM等)を活用した圧倒的な時短
Power BIを使って取引先ごとの売上データをグラフ化したり、NotebookLMやGeminiといった生成AIにExcelデータやグラフを読み込ませることで、瞬時に事業の健康診断レポートやプレゼン資料(スライドや動画)を作成することができます。 AIが「売上は急増しているが、原価率が上昇し利益を圧迫している」「特定の顧客への依存度が上昇している」「稼働効率の悪い機械(号機)がある」といったポイントを整理してくれるため、コンサルタントは仮説検証や社長へのヒアリング・コーチングに集中でき、圧倒的な時短に繋がります。
現場レベルでの「粗利・労務費管理」の重要性
建設業の事例では、単に会社全体の売上と原価を見るだけでなく、**「工事コード(現場)ごとの粗利管理」や、誰がどの現場に何時間入ったかという「労務費の管理」**を徹底することの重要性が語られました。 ベテランと新人では能力が異なるため、労務単価を分けて管理し、どの現場・どのメンバーの組み合わせが利益が出やすいかをマネジメントすることで、劇的な業績改善(粗利率の大幅アップなど)につながる好事例が紹介されました。
まとめ
会社のお金の流れを正確に掴むためには、表面的な比率に惑わされず、キャッシュの動きを7つに細分化してグラフで可視化する「キャッシュミラー経営分析」が極めて有効です。さらに、生成AIなどの最新ツールを掛け合わせることで、より本質的でスピーディな経営改善のアドバイスが可能になります。ぜひ、自社やクライアントの分析に取り入れてみてはいかがでしょうか。

