こんにちわ。Mapイノベーションの本橋です。

第2号は、「ソニーグループの有価証券報告書にスパイダーマンは記載されている?」
ファイナンスをおもしろく・身近に感じていただくために、スパイダーマンに登場いただきます。 ​
Day2は、「スパイダーマンとプレステが、有価証券報告書に記載されている?」
企業価値創造に向け、スパイダーマンやプレステはどのように貢献しているのか?

スパイダーマン、プレステの前に少しお堅いファイナンスにお付き合いください。
戦略CFO大学で活用する財務フレームワーク「ニュー資金別貸借対照表※1」でソニーグループを分解していきます。
このニュー資金別貸借対照表で、私はスパイダーマンとプレステの姿を発見しました。

まず、現預金は2.05兆円保有しているが、この2.05兆円はどこから生み出しているのか?

では、ニュー資金別貸借対照表をもとに見ていきます。
【事業の儲ける力】
創業からの事業の利益の蓄積である損益資金は、7兆円。
1946年創業ということは、76年で7兆円を積み上げた企業構造は注目すべき点と言える。

【サイト】
営業債権(売掛金など)と営業債務(買掛金)の商取引条件は2,147億円キャッシュを生み出している(サイト勝ち)の状態である。

【棚卸資産(在庫)】
8,740億円、売上の8.8%程度

サイトと棚卸の回転期間、つまりCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)は、
売上債権回転期間+棚卸資産回転期間ー支払債務回転期間=1.97+1.79-3.78=△0.02
回転期間を考慮した経常運転資金は、マイナス。つまり、計算上運転資金不要で経営できる状態。

事業の儲け7兆+サイト0.2兆ー棚卸0.87兆=6.4兆円

この6.4兆円を生み出す源泉が、固定資産にある「スパイダーマンとプレステ」
(その他多数あるが、ファイナンスをおもしろく学んでいただくためにこのような表現をしている)

​固定資産は、​
有形固定資産 1.1兆円
無形固定資産 4,500億円
投資等 19兆円(金融分野における投資18兆含む)
コンテンツ資産 1.3兆円

この中に、「スパイダーマンとプレステ」が潜んでいるのだ。
現代では、見える資産である物的資産と金融資産。見えない資産である人的資産や顧客資産。
見えない資産が価値を生むバリューダイナミクスの重要性が説かれています。
そして、これらに対し、2021年4月~2022年3月までの1年間で、2兆円投資している。

この投資にドライブをかける為に、有利子負債により3.35兆円を調達している。

ROE(自己資本利益率=当期純利益÷自己資本) 12.3%をデュポンシステム※2で分解すると
売上高利益率9.0%×総資産回転率32.5%×財務レバレッジ423.5%

つまり、ROE分解から高い利益率で、テコの原理(財務レバレッジ)を働かせると効率よく稼ぐ力となる。

Day3は、スパイダーマンやプレステ等に今後どのような投資をし、どのような戦略を描いているのか?ソニーは、スパイダーマンに更なる投資をする?リストラする?。

※1 ニュー資金別貸借対照表は、
B/SとP/LとCFを1枚のシートで可視化し、どこからお金が生まれてどこに使われているかが一目瞭然になり、企業の資金ベースでの強み弱みがわかる。キャッシュフロー計算書(CF)は、フローという名の通り1会計年度のキャッシュフローはわかるが、ストックであるB/Sにどうキャッシュが使われているかが見えてこない為、B/S、P/L、CFを1枚にした資金別貸借対照表は財務・ファイナンスの革命的なフレームワークと言える。

※2 ROE デュポンシステム
デュポン公式(DuPont Analysis)とは、ROEを①収益性(売上高利益率)、②資産の効率性(総資産回転率)、③財政状態(財務レバレッジ)の3つの要素に分解する公式である。