・香港 世界競争力ランキング第2位→第5位!
スイスのビジネススクール IMDが16日発表した2020年版世界競争力ランキングで中国の統制強化に揺れる香港が5位となり19年の2位から交代した。
香港は反体制活動を禁じる国家安全法の制定方針など一国二制度の形骸化に直面する。19年に大規模、長期化した反政府デモの影響で中国本土やそれ以外からの観光客も激減した。高額なブランド品の販売やホテル業界などの景況は急速に悪化した。トランプ政権は香港に提供してきた関税や渡航面の優遇措置を見直す。世界から多くの富裕層や投資家をつけてきたアジアの金融センターとしての地位が危うくなっている。
・米中貿易戦争で 米3位→10位 中14位→20位 
通商問題を中心に対立する米中も順位を落とし、米中貿易戦争の影響で米国は前年の3位から10位に後退した。中国も20位と6つ順位を落とした。
調査対象は63カ国地域。各国政府や世界人口の統計データと経営者へのアンケート調査を基に算出した。
・シンガポール2年連続第1位
1位は2年連続でシンガポール。健全な財政や雇用、企業の高い生産性などが評価されている。
・日本30位→34位と過去最低を更新。
特にビジネスの効率性をめぐる評価が低く企業環境や国際経験は分野別で最下位と厳しい。
日本の新規開業率は5%程度と10%を超える欧米諸国に比べると見劣りする。IMDのチーフエコノミスト、クリストス・カボリス氏は「日本は厳しい規制や高い法人税が起業を難しくし、海外からの投資も呼び込みにくくしている。」と問題点を指摘する。携帯ネット(1位)環境技術関連(2位)といったインフラ面が強みとして評価された一方でデジタル技術は60位に沈んだ。
日本は新型コロナウイルスも対策で感染経路の調査は電話で聞き取り、給付金のネット申請でも障害が頻発するなどデジタル化の遅れを露呈した。新型コロナは企業活動に大きな打撃をもたらし一般市民の働き方や消費など生活様式も大きく変えた。一方、米中貿易戦争や地球温暖化など従来の課題も残ったまま。危機を克服できる経済の弾力性、政府・個人の適応力、充実した医療保険システムの三つが国家の競争力の決め手となると指摘している。
※日経新聞朝刊2020.06.17参考